先日、ご縁があってフィギュアスケート選手の施術を担当させて頂きました。
小学校高学年、ほぼ休みもなく日々トレーニングに励んでいる彼女の脚腰は疲労困憊…足の裏までもがガチガチに緊張していました。
特に気になったのが”股関節”。ただ硬い、というだけでなく「左右アンバランスな硬さ」
人体の関節で一番大きな関節である股関節の痛みや緊張は、パフォーマンスに影響するだけでなくケガにもつながる”要注意”な状況です。
今回は股関節痛が起こる仕組みからジュニア選手の皆さんでも日々、自宅で簡単に出来る”股関節に効かせる”ストレッチをまとめてみました。
■グロインペイン症候群
アスリートに見られる鼠径部を中心とした股関節の痛みを「グロインペイン症候群=鼠径部痛症候群」といいます。
内転筋障害 腸腰筋障害 鼠径管後壁欠損 外腹斜筋腱膜損傷 恥骨結合炎、スポーツヘルニア 等の総称で恥骨に対する過度なストレス・負荷が原因で起こります。
下半身のケガ・疲労の蓄積が要注意となります。
■発症しやすいスポーツ
バレエ スケート 陸上 サッカー 野球ではピッチャーに多く発症すると言われています。10代〜30代の選手に多く見られ、安静にしていれば痛みは出ませんが、運動をすると痛み出すのが特徴です。
股関節の可動域の狭い選手に発症しやすいですが、柔軟な股関節を持った選手であっても、疲労やその時のコンディションによって股関節の柔軟性が失われているときに発症してしまうこともあります。
■なぜ起こる?
日々のトレーニングによる足・脚の疲労・足首の捻挫・足部の打撲や肉離れ・腰痛などがあり、それが原因で身体のバランスを崩したまま無理をしてトレーニングを続けたために生じた、体幹から股関節周辺の機能障害です。
例えばサッカー選手、片足で立ってキックする動作をくり返すこと そのものが原因となる…というようにバランスの左右差に起因することが多くあります。
疲労や痛みによる姿勢・動き・筋力・柔軟性などの要素のアンバランスがからみ合って、体幹から股関節周辺の不自然な使い方を強いられ、痛みと機能障害の悪循環が症状を慢性化させてしまう症候群だと言えます。
■股関節の痛み・緊張へのアプローチ
治療にはマッサージやストレッチ、体幹の強化といった総合的なアスレチックリハビリテーションが必要になってきます。アスレチックリハビリテーションとは、アスリートが競技復帰を目的として行うリハビリのことです。
グロインペイン症候群に限らず、以下のような方針のもと実施されます。
●緊張した筋に対する静的ストレッチやマッサージ
●身体全体を協調させて動けるようにする動的ストレッチ
●筋力低下に対する筋トレ
■治療方法・方針は…?
①股関節の可動域を確認し、動きを制限している箇所の柔軟性の改善を目指します。可動域を制限している原因を除去すると股関節を動かしたときの引っ掛かりや違和感が消失してきます。
症状の軽いグロインペイン症候群であれば3回~4回程度の施術で痛みはほとんど改善します。
②股関節の動きを取り戻すためのマッサージや整体、体幹のゆがみや骨盤のアンバランスに対するストレッチや矯正・整体など、股関節に負担が掛けている原因を取り除いていきます。
③日々のセルフケアが とても重要になります。「静的ストレッチ」「動的(ダイナミック)ストレッチ」2種類を状況に合わせて使い分けて下さい
静的ストレッチ動画 日々の練習後や就寝前、股関節に痛みや疲れを感じた時
動的ストレッチ動画 大会・試合などの本番前、日々の練習前のアップメニュー
※数多くの股関節ストレッチに関する動画の中で「 わかりやすさ&効果」を基準に選び上記の2本をlinkさせて頂きました。ありがとうございます。
■予防方法
①体全体のバランスが崩れてしまうので下半身(脚・足)の疲れを溜めない&ケガをしたらトレーニングを休む。
②股関節の痛みや疲労を感じた時、動きの悪さを感じたらマッサージなどで回復を図りトレーニング前後は積極的にストレッチを取り入れる。
※準備運動にダイナミックストレッチを取り入れると、体幹から股関節周辺へと連動させる動きを身につけることが出来ます。
マッサージやストレッチ方法など疑問がありましたら、コメント欄よりお知らせ下さい。股関節は人体で一番大きな関節、ゆえに競技パフォーマンスにも大きく影響を及ぼす関節と言えます。ケガの予防やパフォーマンスの向上につながりますので ぜひ365日 実践してみて下さい!
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