当blog 読者様より ご質問を頂いた、ありがとうございます。
ジュニアオリンピックを目指しスイマーとして頑張っている娘さん施してあげる「レースとレースの合間に できる簡単なマッサージ方法」という お題。
いよいよ春も到来し、夏のtopシーズンへ向けて予選会が始まります。ジュニアスイマーの親御さんだけでなく、マスターズスイマーの皆さんも この機会に”山の手堂流マッサージ”を習得してbestタイムを連発して下さい。
■なぜマッサージが必要か?
例えば「肩」。水泳は”肩を大きく動かす”と同時に”繰り返し同じ動作を行う”ことにより肩関節周辺の筋肉に疲労が溜まる。疲労を放置しておくと、肩関節の安定を支えているインナーマッスルの働きが悪くなり、動作がスムーズに出来なくなるなどの症状が現れてしまう。
肩だけでなく水泳は全身を使いう競技なので、選手本人が感じるよりも体は疲れている。日々の練習後とは異なり、レース時は選手自身が備えている100%以上の集中力・運動量が必要とされるのでメンタル的にも体力的にも莫大な疲労が蓄積されてしまう。特に関節周囲や大きい筋肉がある体幹の疲労度はとても高く、乳酸などの疲労物質が溜まっている。この状態を放置してしまうと、筋肉の柔軟性が失われ、骨盤や背骨の歪みの原因にもなる。
「動作がスムーズに出来ない」「疲労が溜まっている」この様な状態のままレースに臨んでもbestなパフォーマンスは期待できないのでマッサージが必要になる。
■レースとレースの合間のマッサージとは?
・オフの日のマッサージ
・日々の練習後のマッサージ
・全レース終了後のマッサージ
・レースとレースの合間のマッサージ
刺激量・治療時間・ターゲットとする筋肉・アプローチの方法etc. 状況、状況によって変わってきます。今回 ご紹介する”レースとレースの合間のマッサージ”の方法が全ての状況時にマッチするということではないので気を付けて頂きたい。
①マッサージ時間は30分以内を厳守
30分でも長いくらい…どうせ延びてしまうのがオチなので、慣れるまでは20分を目安に全身のマッサージを終える様にしましょう。
~ なぜ30分以内?~
・交感神経 活動している時・集中している時に機能する
・副交感神経 休息している時・リラックスしている時に機能する
これからレースに臨む選手は交感神経のスイッチを入れなければならない、マッサージによる過剰刺激は副交感神経のスイッチを入れてしまうので要注意。”30分以内”必ず守って下さい。
②レースの90分前にマッサージを始める
例えば…
1レース目→ 休息・仮眠 → マッサージ30分 → アップ30分 → レース前30分に召集所集合 → 2レース目
トレーナーによって考え方は様々だが、上記の流れを考えると”レース前90分に開始”が適している。
③親指マッサージはダメ! 母子球マッサージを
僕らのように”マッサージを仕事としている者”を除いて親指マッサージは控え、手のひらマッサージを心掛けて欲しい。厳密にいうと手のひらではなく”母子球(ぼしきゅう)”親指の付け根の「ぷくっ」と ふくらんだ肉厚な部分でマッサージして下さい。
~ なぜ親指マッサージはダメ? ~
親指マッサージを適切に行うには十分な修練が必要となります。間違った方法で行うと「刺激量の過多」「鋭い不快な刺激」を与えてしまうことになり、結果として「選手の筋肉にダメージ」「施術者の指・手首のケガ」に繋がり本末転倒となってしまう。 必ず”母子球マッサージ”を心掛けて下さい。
④ ×遠心性 ○求心性マッサージを行う
・遠心性・・・身体の中心から末端に向かって力・感覚が伝わること
・求心性・・・身体の末端から中心に向かって力・感覚が伝わること
あまり難しく考えないで下さい。血管に溜まった老廃物を手足の末端から心臓へ流し込むイメージでマッサージしてあげるだけです。
⑤どうする? 押す・もむ・さする・こねる
どれでも良いと思います。お好みを選手に訊いてあげて下さい。同じ選手でも”「背中は押す」だけど「脚はもむ」が心地良い”という場合があります。
ただ、 押したり もんだり さすったり こねたり… って けっこう疲れます。最初はスポーツマッサージ用ジェルの使用をおススメ。これを使えば”求心性”に血管に溜まった老廃物を手足の末端から心臓へ流し込むイメージ でジェルを塗ってあげるだけでマッサージ効果が得られます。
参考までに 僕はデサント製の物を長年愛用している、ウォーミングアップ用とクールダウン用があるので使い分けている。
■レース前
■ デサント ウォーミングマッサージジェルチューブタイプ 商品詳細 ■
■レース後
■ デサント クーリングマッサージジェルチューブタイプ 商品詳細 ■
⑥どこをマッサージすれば良いか?
”レースとレースの合間” ”制限時間30分” 制約のある中でいかに効率よくマッサージする為には「大きな筋肉にターゲットを絞る」ことです。レース直後は 関節周囲や大きい筋肉がある体幹の疲労度はとても高いので大きい筋肉には より多くの疲労物質が溜まっている。細かな筋肉・インナーマッスルは全レース終了後や日々の練習後にケアし、まずは大きい筋肉からアプローチしよう。
1.脊柱起立筋(棘筋・最長筋・腸肋筋)
時間目安 5分×左右=10分
脊柱起立筋は「棘筋」「最長筋」「腸肋筋」の3つの筋肉で構成される。背中の中心を縦に覆っている大きな筋肉で身体の中でも重要な役割を果たしている。体幹をしっかり安定させる役目を果たしているので水泳では酷使される。
★point★ 脊柱起立筋を背骨から”はがす”
1.青部分の「脊柱起立筋と背骨の間の溝」に母子球をはめ込む
2.方向は「腰→首」
3.背骨から脊柱起立筋を「はがす」イメージで矢印方向に圧を加える
4.首のすぐ下から骨盤(仙骨)まで「詰まった背骨と背骨の間を緩めてあげる」つもりで圧を加える
2.ハムストリングス筋(大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋)
時間目安 2分30秒×左右=5分
ハムストリングスは「大腿二頭筋」「半腱様筋」「半膜様筋」の3つの筋肉で構成されている。これらの筋肉も、細かなことは考えず”太もも裏”と考えてアプローチして下さい。水泳においてはスタート・ターン・キック…あらゆる場面で酷使する筋肉なので重要です。
★point★
1.”指”で青部分の大腿二頭筋と半腱様筋の間にある「溝」(ぺこっと指が入っていくライン)を確認する
2.方向は「膝上→臀部」
3.大腿二頭筋と半腱様筋の間にある「溝」に”母子球”をはめ込む
4.大腿二頭筋から半腱様筋を「はがす」イメージで矢印方向に圧を加える
3.臀筋 お尻
時間目安 2分30秒×左右=5分
臀部の筋肉は体幹部の筋肉の中で大きな「力」を発揮する重要な筋肉。大臀筋・中臀筋・梨状筋…etc. 多数の筋肉で構成されているが、細かなことは考えず”シンプルにお尻”と考えてアプローチして下さい。水泳においては”キックの起点”となり とても大切な筋肉です。
★point★ 圧の方向は”股間”の方向
球体(ボールの形)の臀部をおしなべて地面の方向(垂直方向)に圧をかけても大きな効果は得られません。常に”股間の方向”を狙ってマッサージしてあげて下さい。
4.肩関節まわり(上腕三頭筋・肩甲骨周囲・三角筋)
時間目安 5分×左右=10分
肩甲骨まわり・上腕の筋肉は言うまでもなく水泳では最も重要な役割を果たす。「肩甲骨まわりの筋肉」は多くの筋肉が何層にも重なり構成されているが、細かなことは考えず”肩甲骨を背骨からはがす”イメージが大切です。
★point★ 肩甲骨を”こねる”
1.二の腕は「肘→肩」の方向
2.肩甲骨上(赤四角部分)を母子球を使い・右肩甲骨”反時計回り” ・左肩甲骨”時計回り”に こねる
3.肩甲骨を背骨から”はがす”つもりでマッサージしてあげて下さい。
その他、ふくらはぎ・足裏・首etc. まだまた多くの部位がありますが「小さな筋肉を”ちまちま”マッサージ」するより大きな筋肉をターゲットにした方が効果があります。まずは「脊柱起立筋・ハムストリングス筋・臀筋・肩関節まわり」の4部位をマスターしてみて下さい。
⑦4泳法別 特効のツボ
上記の全身マッサージが終わったら、それぞれの泳法に役立つツボ押しをしてあげて下さい。
■バタフライ 大椎 だいつい
※頭を下に曲げて首の後ろへ手を回し頚椎を下へなぞると骨の出っ張りがあり、これが第七頚椎となる。そのすぐ下の骨と骨の間の凹み。
顎を上下に動かし呼吸・両肩を左右対称に旋回するバタフライの上半身の起点は”大椎”となる。
■背泳ぎ 鳩尾 きゅうび
※左右の肋骨弓と指で押し上げて行き、指の止まった所が”みぞおち”。みぞおちの すぐ下、母指横幅の1本分の所。
胸を大きく開き、横隔膜の柔軟性が必要とされる背泳ぎ。呼吸をスムーズにしメンタルを落ち着かせる効果があるツボ。
■平泳ぎ 足の三里 あしのさんり
※膝の外側、お皿の下から指4本分下がった、一番凹んでいる部分
200Brのレースに出れば痛感するはずで…「すね」がズ~ンと痛くなる。松尾芭蕉も「足の三里」に灸をすえ、気合を入れながら”奥の細道”を旅した (実話)。
■自由形 膏肓 こうこう
※肩甲骨の上の角(上角)と肩甲骨の下の角(下角)を結ぶちょうど中間にあり肩甲骨の内側の際。
「病、膏肓に入る」という ことわざがあるくらい肩甲骨まわりでは重要なツボ。スムーズな肩甲骨の動きが必要な自由形には効果がある。
■個人メドレー
4つのツボ、全部押してあげて下さい 笑。
※ツボ押しの方法
短時間・1か所なので「親指押し」で良いでしょう。
1.親指の「はら」の部分(指の先端から第一関節にかけて)を押す
2.押す強さは「やや強め(ほどよい刺激を感じる程度)」
3.押す時間と間隔は「ひと押し5秒」で、ゆっくり離し 各3回
※左右対称にあるツボは、左右セットで均等に押す
■マッサージ後は即、PowerGel
最低でもレース60分前には摂取しておきたいので、マッサージ終了後は すぐに「Power Gel」、栄養面でも万全の準備をしましょう。詳しくは 2016年2月16日 記事 を参考にして下さい。
ここ一番の大勝負なレースの時は「TPO SPEED」がおススメ、こちらは2016年2月29日 記事 を参考にして下さい。
■ レース用ドリンク トップスピード (TOP SPEED) 商品詳細 ■
マッサージの方法など疑問がありましたら、コメント欄よりお知らせ下さい。
何もしないで2レース目・3レース目に臨むのと、マッサージやサプリメントでケアしてから臨むのでは結果に大きな差があるのは明らかです、ぜひ実践してみて下さい。
”運良く”大会会場で暇そうにしている僕を見かけたら、お声掛け下さい。350缶ビール1本でレクチャーいたします 笑
sh!!bash!
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